大きいサイズの型紙を探すと、選択肢が少ないことに驚く方も多いでしょう。市販の型紙は13号や15号までのものが多く、それ以上のサイズは自分で広げるしかない、という状況が珍しくありません。しかし、型紙を均等に大きくしただけでは、肩が落ちる、前が上がる、背中が余るといった問題が起こりやすくなります。
この記事では、大きいサイズの服を作るときに型紙のどこが問題になりやすいのか、ゆったりした型紙との違い、そして補正の基本的な考え方を、パタンナーの視点で解説します。
大きいサイズの型紙が均等拡大では合わない理由
体が大きくなるとき、すべての部位が同じ割合で大きくなるわけではありません。バストやお腹、二の腕は大きく変化しますが、肩幅や首まわりはそれほど変わらないのが一般的です。そのため、型紙を全体に拡大すると、肩幅が広すぎて肩線が落ち、衿ぐりが大きく開いてしまいます。
逆に肩に合わせて号数を選ぶと、今度はバストやお腹がきつくなります。大きいサイズの型紙で大切なのは、肩まわりは控えめに、バスト・ウエスト・腕まわりは十分に、というように部位ごとに増やし方を変えることです。
ゆったり型紙と大きいサイズ型紙の違い
ゆったりした型紙を選べば大きいサイズでも着られる、と考えがちですが、実は別物です。ゆったり型紙は、標準体型にたっぷりとゆとりを加えたデザインです。肩幅も袖ぐりも大きく作られているため、体の大きさとは関係なく全体がだぶついて見えることがあります。
大きいサイズの体型には、体に合った肩と、必要な部分だけのゆとりを組み合わせるほうが、すっきり見えて動きやすくなります。ドロップショルダーやオーバーサイズのデザインを楽しむ場合も、肩の基準位置が自分の体に合っていることが前提です。
また、ゆとりが多すぎると、生地の重みで前後に引っ張られ、かえって体が大きく見えることがあります。バストまわりのゆとりは、体に沿うデザインで6〜8cm、普通のフィットで10〜12cm程度を目安にし、それ以上は意図したデザインの場合だけと考えましょう。
プロのコツ
試着で肩線が肩先から2cm以上落ちているなら、身幅ではなく肩幅の問題です。身頃を詰める前に、まず肩の位置を合わせましょう。
型紙のサイズ補正:よくある3つのポイント
型紙のサイズ補正で特に多いのが、バスト、お腹、背中の3か所です。それぞれ原因と対処法が異なります。
- バスト補正:前身頃を切り開いてバストダーツを増やし、前丈を伸ばす。前裾が上がるのを防ぐ
- お腹まわりの補正:前のウエスト位置を下げ、前スカートや前パンツの丈と幅を足す。前中心が上がって斜めになるのを防ぐ
- 背中の丸みの補正:後ろ身頃の肩甲骨あたりを切り開いて丈を足し、肩ダーツやヨークで処理する
- 二の腕の補正:袖幅を切り開いて広げ、袖山の高さとのバランスを見直す
大きいサイズの服の作り方:デザインと生地の選び方
大きいサイズの服の作り方では、デザインと生地選びが着心地を大きく左右します。縦の切り替え線が入ったプリンセスラインや、Vネック、前開きのデザインは、体のラインを縦に見せ、すっきりした印象になります。
生地は、適度な落ち感のあるレーヨン、テンセル、とろみのあるポリエステル、ウールジョーゼットなどが扱いやすく、体に貼り付かずにきれいに落ちます。張りの強い生地はボリュームが出やすいので、ギャザーの量を控えめにしましょう。生地幅150cmの生地を選ぶと、大きなパーツでも裁ち合わせがしやすくなります。
号数の目安と寸法で考える大切さ
JISの号数では、15号でバスト約92cm、17号で約96cm、19号で約100cm、21号で約104cmが目安です。ただし号数の範囲はメーカーや型紙ブランドによって異なり、同じ17号でもヒップや身長の想定は違います。号数だけで判断せず、型紙の仕上がり寸法と自分の寸法を比べることが大切です。
Minervaでは大きいサイズのカテゴリーで、寸法を入力して型紙を注文できます。さらに「Pro fit」を選ぶと、姿勢、バスト、お腹など11項目の体型の特徴を指定でき、それらを考慮して型紙が作られます。補正の多い体型ほど、最初から体型を反映した型紙を使うメリットは大きくなります。
プロのコツ
体型の特徴を指定するときは、横から全身の写真を撮って確認すると客観的に判断できます。自分の感覚だけで選ぶと、反り身や猫背の度合いを見誤りがちです。
スカートやパンツで気をつけたいこと
ボトムスでは、ヒップとお腹の関係が特に重要です。お腹が前に出ている体型では、前中心の丈が足りなくなり、スカートの裾が前上がりに、パンツは前股上がきつくなります。前ウエストを持ち上げる方向に丈を足し、前のダーツ量を減らすか、ダーツの代わりにタックやギャザーにすると、すっきりと落ち着きます。
ヒップが大きい場合は、後ろの股ぐりを深くし、後ろ股上を長くする補正が必要です。太ももが張っている場合は、わたりを広げると同時に、ひざから裾にかけての線もなだらかにつなぐことで、パンツ全体の落ち感がきれいになります。
ウエストを総ゴムにするデザインは楽に見えますが、ヒップの寸法に合わせて入り口を大きくする必要があり、ウエスト周りにギャザーが集中して膨らみやすくなります。前は平らなベルトにして、後ろだけゴムを入れる仕様にすると、見た目と着心地を両立できます。
仮縫いで確認したいチェックポイント
大きいサイズの服ほど、本番の生地を裁つ前にトワルで確認する価値があります。特に次の点を鏡の前でチェックしてください。
- 1.肩線が肩先の位置で止まっているか
- 2.前裾と後ろ裾が床と平行になっているか
- 3.脇線が体の真横をまっすぐ通っているか
- 4.腕を前に伸ばしたとき、背中が突っ張らないか
- 5.座ったとき、お腹やヒップに無理なしわが出ないか
よくある質問
市販の型紙を何号まで広げられますか?
1〜2号程度なら補正で対応できますが、それ以上は肩や衿ぐりのバランスが崩れやすくなります。大きく離れる場合は、寸法から作る型紙を検討してください。
バストが大きい場合、何号を選べばいいですか?
肩幅や上胸囲に合わせて号数を選び、バスト補正で前身頃を広げるのが基本です。バストだけで選ぶと肩が大きくなりすぎます。
ゆったりした型紙なら補正は不要ですか?
ゆとりで多少はカバーできますが、肩の位置や前後の丈のバランスは変わりません。前裾が上がるなどの問題は、ゆとりでは解決しません。
Pro fitは何を考慮してくれますか?
姿勢、バスト、お腹など11項目の体型の特徴です。寸法だけでは表せない体の形を型紙に反映させるための選択肢です。
大きいサイズでもニット生地の服は作れますか?
作れます。ニットは伸びで体に沿うため補正が少なくて済む反面、薄手だと体のラインを拾いやすくなります。適度な厚みと回復力のあるポンチやスムースがおすすめです。
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