メンズの型紙は、レディースに比べて手に入る種類がぐっと少なくなります。洋裁の本や型紙ブランドの多くは婦人服が中心で、紳士服はシャツやパンツ程度、テーラードジャケットやコートになると選択肢がさらに限られます。しかも紳士服は、肩や胸、背中の収まりがわずかにずれるだけで、仕立ての印象が大きく変わります。
この記事では、スーツ、シャツ、コートといったメンズの型紙の特徴、オーダースーツのように体に合わせるための採寸のポイント、生地と芯地の選び方、形式の選び方までを解説します。家族のために紳士服を縫いたい方、テーラーや小規模な縫製工房の方にも役立つ内容です。
メンズの型紙と婦人服の型紙の違い
紳士服の型紙は、婦人服とは原型の考え方が異なります。バストダーツがないため、胸の立体感は短い胸ダーツ、後ろ寄りに移した脇線、そして脇身頃(サイドパネル)で作ります。肩は婦人服より広く傾斜もゆるやかで、背中の丸みや肩甲骨の張りを考慮した後ろ身頃になっています。
前の打ち合わせも逆です。紳士服は左前身頃が右の上に重なり、婦人服はその反対です。細かい違いですが、型紙を流用するときには注意が必要です。
- シングル・ダブルのジャケット
- ベスト(ウエストコート)
- タキシード(ディナージャケット)、燕尾服
- ドレスシャツ、カジュアルシャツ
- スラックス、チェスターコートなどのコート
オーダースーツのような型紙を作るには
オーダースーツの型紙は、テーラーが顧客の寸法と体型を見て一着ごとに作るものです。肩の傾き、胸の厚み、背中の丸み、腹部の出方などを読み取り、標準体型からの差を型紙に反映させます。既製服の体型区分(Y体、A体、AB体、BE体など)は、こうした違いを大まかに分類したものです。
Minerva Patternsでは、モデルを選んで注文時に数か所の寸法を入力するか標準サイズを選ぶと、CADシステムがそのモデルを寸法に合わせてグレーディングし、型紙を作成します。胸囲と胴囲の差、着丈、袖丈が最初から反映されるので、標準サイズから補正するよりも出発点がずっと体に近くなります。型紙は入力した寸法どおりに作られるので、採寸は正確に行ってください。
プロのコツ
仮縫いでは、ボタンを留めた状態で、まず衿が首に沿っているか、背中に横ジワがないかを確認します。肩と背中が合っていれば、胸や袖の補正は比較的簡単です。
採寸のポイント
紳士服の採寸は、下着かシャツ1枚の状態で、いつもの姿勢で立って行います。胸を張ったりお腹をへこませたりすると、着たときに合わなくなります。
- 1.胸囲:脇の下を通り、胸の最も厚い位置を水平に一周
- 2.胴囲:ウエストの最も細い位置、またはズボンをはく位置
- 3.腰囲:お尻の最も張っている位置を水平に一周
- 4.身長と着丈:着丈は首の付け根の骨から希望の丈まで
- 5.袖丈:肩先からひじを通って手首の骨まで、腕を自然に下ろして
- 6.首回り(シャツ):のど仏の下を通り、指1本分のゆとりで
プロのコツ
スーツの上着とスラックスは、胸囲と胴囲の差(ドロップ)が体型によって大きく異なります。上下で別々の寸法を使える型紙なら、セットアップでも無理なく体に合わせられます。
シャツの型紙(メンズ)の特徴
メンズシャツの型紙は、台衿付きの衿、前立て、ヨーク、剣ボロ付きのカフスが基本構成です。ドレスシャツは首回りと袖丈が着心地を決め、首回りは指1本分、カフスは手首より4〜6cm程度大きくするのが一般的です。
縫い代は折り伏せ縫いで始末すると、裏側もきれいで丈夫に仕上がります。生地は綿のブロード、オックスフォード、ツイル、リネンなどが定番で、衿とカフスには硬めの接着芯を使うと形が崩れにくくなります。
コートの型紙(メンズ)とジャケットの生地・芯地
メンズのコートの型紙は、スーツの上に着ることを前提に、胸のゆとりと袖ぐりの深さを大きくとっています。チェスターコートやダブルのオーバーコートでは、ウールのメルトンやヘリンボーン、カシミヤ混など400〜600g/m程度の厚地が使われ、縫い代を広めにとり、縫い目を割ってしっかりアイロンで押さえることが大切です。
ジャケットの胸の立体感は、伝統的なテーラリングでは毛芯(馬毛やウールの芯)で作ります。家庭やスモールロットの縫製では、接着芯と部分的な毛芯を組み合わせる方法も一般的です。見返し、衿、前身頃の上部には芯を貼り、ラペルの返り線には伸び止めテープを少し引き気味に貼ると、ラペルが胸に沿って美しく返ります。
裏地はキュプラが定番で、吸湿性がよく静電気が起きにくいため、よく着るスーツやコートに向いています。後ろ中心にきせを入れて、動いても突っ張らないようにします。
型紙の形式:PDFからDXF AAMAまで
紳士服の型紙はパーツが大きく、数も多くなります。家庭のプリンターで印刷するA4やレターサイズのPDF、コピーショップで出力するA0のPDF、A0ロール紙に収まる幅80cmの1枚のロングPDF、生地に直接投影するプロジェクター用PDFから選べます。
テーラーや縫製工房、3Dデザイナーの方には、DXF AAMA形式が便利です。Lectra、Gerber、OptitexなどのCADや、CLO3D、Browzwearといった3Dソフトにそのまま読み込めます。カッティングプロッター用のPLT形式もあります。形式は注文時に選び、後から別の形式が必要になった場合は新しい注文になります。縫い代付き・縫い代なしも選べ、ライセンスは個人・商用のどちらにも使えますが、ファイルの共有や再販売はできません。
よくある質問
婦人服の型紙を紳士服に流用できますか?
おすすめしません。紳士服はバストダーツがなく、肩の傾きや脇身頃の構成も異なります。紳士服用に作られた型紙を使う方が確実です。
オーダースーツのような型紙を自宅で使えますか?
寸法を入力して作るオーダー型紙なら、標準サイズより体に近い型紙から始められます。仕立ての仕上がりを高めるには、仮縫いで肩と背中を確認するのがおすすめです。
メンズシャツの首回りはどう測りますか?
のど仏のすぐ下を通り、メジャーと首の間に指1本が入る程度のゆとりで測ります。
CADや3Dソフトで使える形式はありますか?
DXF AAMA形式を選べば、Lectra、Gerber、Optitex、CLO3D、Browzwearなどで使えます。カッティングプロッター用のPLT形式もあります。
縫い方の説明は付いていますか?
すべての注文に、文章による縫製の説明と用尺を記したPDFブックレットが付きます。図解による工程説明や動画はありません。
Minerva Patterns
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型紙はすべてご自身の採寸値から作成し、PDF(A4・A0・プロジェクター用)、DXF AAMA、PLTでお届けします。
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